オールタナティヴ教育を「稽古」の思想の視点から検討する中で「宗教性・精神性」の問題を考察する本研究の初年度の成果は以下の通りである。 1、「京田辺シュタイナー学校」において申請者自身がエポック授業を行い、生徒たちと親密な関係を築き、子どもの視点から見た「ホリスティック教育」の機能について詳細な聞き取りを行った。この継続的な作業の中で、シュタイナー教育というオールタナティヴ教育における「書くこと」の意味が明確になった。 2、海外へのフィールド調査としては、ブータン国への調査を行った。オールタナティヴな近代を目指すブータンにおいて、近代学校の制度がいかなる意味を持つのか、その中で、宗教性がどのようの考慮されているのか。継続的な調査を続けてゆく予定のため成果は未発表である。 3、文献研究としては、井筒俊彦の「東洋哲学」の構図を基礎としながら今日の多様な稽古論を再検討し「伝達」概念の検討を行った。また、エリクソンの翻訳作業(『アイデンティティとライフサイクル』近刊)を継続する中で、「アイデンティティ」と「宗教性・精神性」の問題を検討した。
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