研究課題/領域番号 |
22530819
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
安藤 輝次 奈良教育大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70143930)
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キーワード | 教員養成 / 教師教育 / 若手教員の悩み / 教育実習生の悩み / ケースメソッド / インターネット |
研究概要 |
平成23年度の研究成果は、次の通りである。 (1)インターネット活用した教職3年目までの若手教員の研修 奈良県G市立T小学校の若手教員8名が1学期(6月~7月:計3回)と2学期(10月:計4回)にそれぞれ1回ずつ研究授業を行ったが、そのための教材研究、学習指導案づくり、そして、授業後の反省をグーグル・ホームページのマイサイト(同校教員14名と私の計15名のみ閲覧可能で、全72頁)を活用した。その結果、ネット上の質疑応答が有効であることが分かった。ただし、若手教員の多くは、初任者研修の対象者や教員採用試験受験者であり、この手法は効果的であるが、負担が大きいという感想であった。 (2)教職1年目及び2年目の若手教員に関する悩みの調査 上記の(1)では非常勤講師も含んでおり、教職初心者の力量把握をより正確に行うために夏休み中に教職大学院を修了した教職1年目と2年目の若手教員12名を対象に『教育実習生の失敗事例集』のうち今なお解決が困難なケースを選んでもらい、初心者教員の躓きを明らかにした。 (3)インターネット活用した教育実習を経験した学部学生の力量形成 奈良教育大学で教育実習を経験した学部生を対象にした私の授業「指導と評価」において、グーグル・ホームページのマイサイト(受講生8名と私の計9名のみ閲覧可能で、全46頁)に教育実習生、教職1年目及び2年目と3年目の教員がもっとも躓いている悩みトップ10を掲載し、それと絡めながら、自分たち自身の実習での失敗を出して解決策を探って、確かな力量をつけることができた。 なお、(3)の方法を使えば、大学の教職の授業において、教職3年目までの力量形成の歩みを視野に入れながら、学部生自らの教育実習経験を踏まえて、その理論的意味づけをし、協働的に学びを展開できることが分かったので、平成24年10月の日本教育方法学会全国大会で発表をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、教育実習修了後の学部生及び、教職大学院生、教職3年目までの若手教員にそれぞれの段階の失敗事例を示させ、彼らの協働的な学びに生かしている。第二に、登録者のみに限定したホームページ上にそれぞれの力量形成過程に典型的な失敗事例を掲載し、失敗や躓きに対処する手立てを示して、無用な失敗を回避できる手だてを講じている。ただし、第二点については、自主的に研修できるためのティーチング・ノートまでは掲載していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、(1)教員養成段階の学生から教職3年目までの若手教員を対象とした典型的な躓きのケースとそれを自主的に研修できるためのティーチング・ノート、そして、研修の評価方法をホームページ上に掲載することが主目的であり、これは、容易に実現できる。そして、(2)大学生に対してインターネットを活用した力量形成を授業で実行することもすでに前期授業で計画中である。教職3年目までの若手教員については、iPadを使ってホームページにアクセスし、(3)兵庫県M市において拠点校指導教員と初任者教員を軸に展開する方法、あるいは、(4)同県H市の大規模小学校で研修担当教員と若手教員が研修を行う方法、の少なくともいずれか一つは実施する予定である。(4)については、当初の計画では、市教委まで拡大する予定であったが、過去2年間の協力小学校は小規模校で試みてきたが、大規模校こそ効果的ではないかという反省を活かしてより堅実な試みをし、それが認められれば、市レベルまで拡大することも可能であろうと思う。そして、研究成果を論文に取りまとめ、学会で発表する。
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