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2011 年度 実績報告書

明治期における小学校理科の誕生と実業教育施策

研究課題

研究課題/領域番号 22530823
研究機関愛知県立大学

研究代表者

伊藤 稔明  愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (40295572)

キーワード理科教育史 / 実業教育 / 教育令 / 小学校令
研究概要

交付申請書にも記載したように、この研究の目的は、小学校教科としての理科の誕生要因を初等教育における実業教育導入という視座から明らかにすることである。2011年度での研究では、当時の実業教育の実情を明らかにする研究の一つとして、農学校通則に基づく農学校に関して考察を深めた。具体的には、長崎県に設置された壱岐農学校、福江農学校、平戸農学校について、その設置から廃止までの経緯を考察した。
長崎県では、明治10年代後半までに7つの県立中学校が設置されていたけれども、財政難からそれらの中学校は総て廃止され、長崎村に唯一の県立中学校を新設した。このあと、壱岐石田郡、南松浦郡、北松浦郡では、廃止された中学校の遺材を用いて農学校が設立された。これらの農学校が、壱岐石田郡聨合村立壱岐農学校、南松浦郡聨合村立福江農学校、北松浦郡聨合町村立平戸農学校である。
これらの農学校はいずれも短命に終わった。壱岐石田郡、南松浦郡、北松浦郡では、農学校の遺材を用いて高等小学校が設置されることになる。財政難のなかで、小学校令によって設置義務が課せられた高等小学校を設置するために、特段の設置義務がない農学校は廃止されるに至った。
この研究は、当時の実業学校の推移と諸学校令の体制との関連を明らかにするものとなった。理科は高等小学校とともに誕生する。当時の日本の主要産業であった農業の教育と初等教育の連関を見出したことで、理科誕生の要因探求において重要な考察となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、明治10年代後半における実業教育と初等科学教育の関連を分析するために、当時の実業教育の実態を明らかにしなくてはならない。これまでの研究で、上述したような研究実績を積み上げてきたことから、"おおむね順調に進展している"と評価できる。

今後の研究の推進方策

明治10年代後半の実業教育の実態が明らかになってきたことで、そうした実業教育思想が小学校における科学教育に与えた影響を解明できる可能性がみえてきた。文部省が推進してきた中等教育レベルの実業教育は、方向転換を余儀なくされ、結果的には初等教育における実業教育が充実されることになる。このような基調にたって、今後は、この課題研究の申請の際に目的とした「小学校及小学教場教則綱領」や「小学科課程表」作成過程を明らかにする方向へ研究をすすめる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 長崎県公立第一種農学校に関する一考察2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤稔明
    • 雑誌名

      愛知県立大学児童教育学科論集

      巻: 第46号 ページ: 27-42

  • [雑誌論文] 理科誕生時における教育現場の困惑に関する一考察2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤稔明
    • 雑誌名

      日本理科教育学会全国大会発表論文集

      巻: 第9号 ページ: 136

  • [学会発表] 理科誕生時における教育現場の困惑に関する一考察2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤稔明
    • 学会等名
      日本理科教育学会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2011-08-20
  • [備考]

    • URL

      http://www.lit.aichi-pu.ac.jp/~toshiaki/Toshiaki-02.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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