今年度は、明治期の実業教育施策の研究として、新潟県農学校に焦点をおいた研究をすすめた。当時の農学校は、農学校通則に準拠して設置されることになっており、この通則は、農学校を前期中等教育レベルの第一種農学校と、後期中等教育レベルの第二種農学校とに種別していた。農学校通則に基づいて設置された公立農学校は全国で13校あり、そのほとんどは第一種農学校であった。第二種農学校として設置されたのは、福岡農学校、岐阜県農学校及び、この新潟県農学校であった。ただ、新潟県農学校は、第一種農学校も併存して設置していた。この農学校を後に文部省は「完全ナル農学校」と評価する。今年度は、こうした特徴的な設置形態をもった新潟県農学校に関して、その設置から廃止への経緯を明らかにする研究を行った。
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