平成25年度は、これまであまり研究を進めていなかった戦後すぐの中国の少年犯罪の状況に関して、中国広東省の省立図書館、中山大学図書館、香港大学図書館などで資料を調査した。1940年代後半、1950年代初期の中国の新聞雑誌、警察関連の雑誌から当時の少年犯罪に関わる記事があるのかを確認した。また、現在の中国の少年犯罪に関する書籍も購入した。しかし中国の関連資料は膨大であり、まだ時間的にも十分に調査ができなかったことから、今後、これらの資料に加え、さらに資料を収集し、1950年代までの中国の少年犯罪について論文等を執筆できるようにしたい。 戦後台湾の少年犯罪に関しては、日本統治時代との連続性を研究するため、終戦後の日本統治時期の少年刑務所の接収、犯罪少年に関わる公文書を収集するため、国家档案管理局(公文書館)に出向いた。しかし終戦直後の公文書は修復作業中のものも多いため、申請はしたが、今年度は公開されている公文書をカメラで撮影した。本年度は、台湾でこれまで収集した明陽中学(少年刑務所)所有の公文書等を用いて、戦後台湾の少年輔育院(少年院)に関する2論文を公表した。 戦後香港の少年犯罪については、香港の政府档案処で1950年代から現在までの少年犯罪に関する公文書の大多数をコピーし郵送してもらった。これらの公文書は今後徐々に読んでいき、論文等で確実に公表したいと考えている。 また、日本統治期の朝鮮半島の少年犯罪を考察するため、戦前の朝鮮半島の少年福祉を専門とする先生に、韓国国家記録院で日本統治時期の少年刑務所の公文書をコピー、送付をしてもらった。今年度は資料収集に多くの時間を割いたが、今後の研究に必要な資料が多く得られた。
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