研究課題/領域番号 |
22530828
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研究機関 | 国立音楽大学 |
研究代表者 |
宇佐美 明子 国立音楽大学, 国立音楽大学音楽学部, 教授 (10286437)
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研究分担者 |
中村 るい 国立音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (50535276)
島田 由紀子 和洋女子大学, 人文学群, 准教授 (80369397)
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キーワード | 性差研究 / 美術教育 / 学習指導論 / 教育学 / 芸術諸学 |
研究概要 |
22年度は、8回の例会を開催し分担者と協力者で意見交換をしながら研究をすすめた。 1 美術教育分野の大著を見直すローウェンフェルド著「美術による人間形成」などの大著には、男女それぞれの特徴が明記されていない。むしろ女児の表現を良しとしない記述が複数見られた。22年度は、0歳から6歳までの乳幼児606名の自由画を新たに収集・分析した。これまでの大著にみられない性の特徴を盛り込んだテキスト作成のために研究をすすめている。1)色面で表現する傾向のある女児画について、大著では否定する箇所があり訂正されねばならない。2)生理色から概念色への移行時期については、男児より女児が早かったが、色彩の発達を扱う文献は少ない。3)様式美を大切にする女児画と比較して、男児の図式期の表現が様式(図式)であるか否かなどを検証中である。 2 研究者・教師の意識研究者・教師は、子どもの表現には男女それぞれに特徴があることを知っているが、評価や教材選択に自分の性(興味関心の持ち方)が影響をしていることを認めたがらないことが分かった。これは本研究の成果が教育の場に貢献するうえで大きな壁になるだろう。そこで、美術教育系の学会誌などを対象に、研究テーマのキーワードを男女別に集計し、無自覚に選択されたテーマ(興味)の違いについて数値化することをすすめている。 3 性差を考慮した学習方法について1)利用者の多い代表的な描画指導法、酒井式・きみ子式の見直しをしたところ、酒井式は動きや構図など、きみ子式は色彩(色面)を重視する女性の特徴が反映されており、これらの描画方法を実践する場合、教師が性差を理解して指導する必要があることが分かった。2)鑑賞教育については、女流作家の作品がどのように評価されてきたか、同じ作品を男女の評論家がどのように論じているかなどを調査中。また、小中学生対象の美術館授業での記録を収集している。3)一般社会で広く流通し、影響力を持っと考えられる美術(史)検定などや、未来の美術(教育)界を担う若者たちの価値観を左右する画塾などの指導方法に、性による偏りがないか調査中。
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