研究期間3年目にあたる本年度は、当初の計画通り、①H23年度実施したインタビュー調査の継続調査を行うとともに、②研究最終年度として、アンケート調査とインタビュー調査の両結果の突き合わせによる分析とそれに基づく発達サポートシステムの構想を行い試論的に提起することであった。なお、H24年度も、アンケート及びインタビュー両調査に協力していただいた静岡大学の菅野文彦氏及び望月耕太氏とともに、分析作業を行った。 若い教師の発達サポートシステム構築にためには、とりわけ若い教師たちと先輩・同僚教師たちに次の諸点のような認識と条件整備が必要である。すなわち、第1は、教師の発達に関する考え方の転換であるが、単調に連続して積み上がっていくような考え方から、新しい状況に対応しながら非連続的に変容していくような考え方への転換である。第2は、教師の力量に関する考え方の転換である。すなわち、あらゆる状況において適用可能な知識・技術の熟達というような考え方から、具体的な状況に即した最適な解釈・判断の創出というような考え方への転換である。 この2つの考え方にたって、若い教師たちは、日常の実践を省察的に振り返り、その継続的な営み自体が教師としての発達を促すとの認識に立つことである。同時に、若い教師の発達を援助する周囲の先輩教師たちは、教師を鍛える指導プログラムを強化する方向ではなく、若い教師たちの省察的な営みがより的確に行われるように援助すること、そしてその援助が特定の先輩教師による指導というスタイルではなく、複数の先輩・同僚教師による共同研究的なネットワークを整備するというスタイルを採った構築が必要との認識に立つことである。
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