本研究は、ライフコースアプローチに基づき、若い教師の発達をサポートするシステムを明らかにすることを目的としている。研究方法は、質問紙調査(回答者数208名)とインタビュー調査(対象者2名)である。その結果から、とりわけ次のような点が重要であることが明らかとなった。第1は、教師教育者に関する考え方の転換である。すなわち、指導と被指導という垂直的な関係性に基づくフォーマルな教師教育者という考え方から、相互に支え促すという水平的な関係性に基づくインフォーマルな教師教育者という考え方への転換である。第2は、教師教育を担う組織に関する考え方の転換である。すなわち、教師の発達と力量形成を支え促すためのサポート機能が、形骸化してしまうような一元的制度化を図る考え方から、豊饒化していくような多元的ネットワーク化を図る考え方への転換である。
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