チェコ、ドイツ、オランダなどヨーロッパ各地の図書館で文献調査を行い、『世界図絵』の様々な異版本を閲覧した。『世界図絵』の挿絵が初めてカラーで印刷された1883年版の特徴を明らかにしたことも重要な成果であるが、とりわけ「第3章 天空」の挿絵が1658年に発行された初版では、回転するものであったことを確認できたことは、きわめて大きな成果である。その結果『世界図絵』が世界で最初の挿絵入り教科書であるということにとどまらず、世界で最初の手でさわって動かせることのできる教材であることを明確に指摘することができた。
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