本年度(平成22年度)は、全国の旧制中学校の寄宿舎・校友会と高等中学校寄宿舎に関する研究を行った 旧制中学校の寄宿舎・校友会については、野間教育研究所所蔵の全国の旧制中学校関係の学校沿革誌を利用して、滋賀県尋常中学校・山形県尋常中学校・宮城県尋常中学校・島根県尋常中学校などの寄宿舎や校友会の設置・変遷について調査した。科学研究費を受ける以前から進めていたが、本年度の調査で学校沿革誌を使った調査としては大半を終えることができた。また、1880年代における地方自治制の確立と学校内における生徒の自治的活動との関係についても調査を開始することができた。 高等中学校に関しては、とくに第一高等中学校およびその前身の東京大学予備門の寄宿舎についての詳細な研究を進め、その成果の一部を論文「第一高等中学校寄宿舎自治制導入過程の再検討(その二)」と口頭発表「森文政期の帝国大学と第一高等中学校における寄宿舎方針」で公表した。 本研究は旧制中学校・旧制高等学校の寄宿舎自治や校友会の発足・変遷の全国的動向を明らかにするということを目的としているが、以上のような本年度の成果によって、第一年目の計画(全国の旧制中学校の寄宿舎の設置状況やその内容の調査)をほぼ達成(一部は来年度に実施予定)するとともに第二年目の内容の一部を先行的に実施することができた。
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