研究課題
基盤研究(C)
本研究では、学力低下が叫ばれる大学初年次段階の読解力、とりわけクリティカル・リーディング(分析的読み)の力に注目する。まず、様々に定義される「読解力」の概念を整理することから始めて、「読解力とは何か」を明らかにする。それにより、読解力の向上に必要な要素を導き出し、その要素を向上させるための効果的な教授法を開発することを目的としている。平成22年度は資料収集を行うとともに、サンプル教材の作成とその実践を行った。サンプル教材としては、(1)てびき、(2)予習シート、(3)復習シートを作成し、関西国際大学の入学前教育である「ウォーミングアップ学習」中の「ゼミナール体験」で使用した。実際の授業が複数担当者間で差が生じないようにするため、授業進行例も作成した。ウォーミングアップ学習終了後には担当者から意見収集を行い、教材については問題点がないとの評価を受けたが、次年度の実施に向けての改良点も見つかった。資料収集の結果報告と教材作成にあたっては、研究会を3回実施した(12月実施:神戸、1月実施:神戸、2月実施:金沢)。また、ウォーミングアップ学習で実施されている2つのプログラム「日本語運用能力テスト」と「ゼミナール入門」の2008年入学生と2009年入学生のデータの分析・検証も行った。分析にあたっては「内容の読解」と「表現の形式」の2つの観点に分けて行い、内容の読解と日本語運用能力との間に若干の関連性が認められるという結果が得られた。これについては、関西国際大学研究紀要で成果発表を行った。
すべて 2011
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関西国際大学研究紀要
巻: 第12号 ページ: 89-99