研究概要 |
本研究では、大学初年次段階における読解力の中でも特に、クリティカル・リーディング(分析的読み)の力に注目し、読解力を向上させるための効果的な教授法を開発することを目的としている。 前年(平成22年)度の情報収集収集の結果、「読書習慣」に関するアンケート項目の整理を行い、高校1年生245名と大学2年生11名に対して、パイロットスタディを実施した。その結果、アンケート項目の追加・調整を行い、「読解力診断テスト」のフレームの基礎を構築した。 また、前年度に開発した関西国際大学「ウォーミングアップ学習」(入学前教育)プログラムの中の「ゼミナール入門」で使用する「予習シート」のデータ収集と分析も継続して行い、前年度との比較も行った。読解力を中心に,文章量や日本語運用能力との関係を2011年度入学生のデータで見ると、次のようになった。(1)内容の読解が正しいグループの方が,文章量が多くなる傾向がある。(2)表現の形式が正しくないグループ方が,文章量が多くなる傾向がある。(3)内容の読解が正しく表現の形式が正しくないグループが最も文章量が多くなる。(4)内容の読解が正しいグループの方が,日本語運用能力テストの得点がよい傾向があり,その特徴は表現の形式が正しいグループ内で顕著である。これらの傾向は,2009-10年度生の傾向と概ね同じであるという結果が得られた。この結果については。『関西国際大学研究紀要第13号』において発表した。 以上の成果をまとめるにあたっては、研究会(コモンリーディング研究会)を3回実施した(5月実施:神戸、10月実施:神戸、3月実施:金沢)。
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