研究課題
本研究では、学力低下が叫ばれる大学初年次段階の読解力、とりわけクリティカル・リーディング(分析的読み)の力に注目する。まず、様々に定義される「読解力」の概念を整理することから始め「読解力とは何か」を明らかにする。それにより、読解力の向上に必要な要素を導き出し、その要素を向上させるための効果的な教授法の開発を行った。読解力の要素としては、①言語知識、②局所的理解、③全体的理解、④表現力があるとし、それらの検証のため、「読解力診断テスト」の開発を行った。開発段階では、まず少人数のパイロットを行い、受験者にヒアリングを行った結果、問題の改良を行い、試験的実施へとつなげた。試験的実施においては、3大学で241名に受験してもらった。特徴的な結果としては、読書頻度と総得点との関係をみると、読書頻度が高い回答層ほど平均得点が高い結果が得られた。本を「よく読む」と答えた層と「まったく読まない」と答えた層の間では、平均点で10ポイント程度の差が見られたのである。そして、図書館や書店の利用頻度が高いほど得点が高いこともわかった。しかし、「新聞を読む頻度」の回答と総得点は関係していないこともわかった。教授法の開発にあたっては、国語教育、日本語教育、英語教育の各分野での実践例、さらには心理学的なアプローチも加え、有機的かつ総合的で、アクティブラーニングも取り入れた教授法の開発を試みた。教授法の一部は、関西国際大学の入学前教育において実践している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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関西国際大学紀要
巻: 第16号 ページ: pp.13-20