本研究は、初等中等教育教員の養成・採用・研修のプロセスにおけるいわゆる教職教養(教育法規・教育時事・教育心理・教育史など)の位置づけについて我が国とフランスの状況を比較し、我が国の特徴の一端を明らかにしようとするものである。教員養成系大学のカリキュラム、教員採用試験の出題、教員研修の内容という3つの場面において教職教養がどのように取り扱われているのかを国際比較の作業を通じて明らかにすることによって、教員養成の学としての教育学を構成する知識の編成・普及の在り方について我が国の状況を反省する材料を得ることが期待され、さらに教員養成・採用システムの改善に向けた知見を得ることが期待される。初年度は、日本の状況について、文献調査や学会参加によって教員養成の制度や教員採用試験の過去問題の内容の分析を行い、また、次年度の現地調査時に意見交換のために使用するフランス語による日本の教員制度の基礎資料を作成した。フランスの状況については、文献調査によって、教員養成関連の現行法規の再確認や教員採用試験の過去問題の収集・整理を行った。また、フランス教育法典とフランス国民教育省統計集(RERS)の関連箇所の翻訳作業を進めた。さらに、次年度の現地調査に向けてフランス国民教育省の担当官などに調査協力への依頼を行った。次年度は、以上の作業に基づいて、フランス現地調査によって分析をさらに進める予定である。また、学会発表や論文投稿によって成果の公表を進める予定である。
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