本研究は、初等中等教育教員の養成・採用・研修のプロセスにおけるいわゆる教職教養(教育法規・教育時事・教育心理・教育史など)の位置づけについて我が国とフランスの状況を比較し、我が国の特徴の一端を明らかにしようとするものである。教員養成系大学のカリキュラム、教員採用試験の出題、教員研修の内容という3つの場面において教職教養がどのように取り扱われているのかを国際比較の作業を通じて明らかにすることによって、教員養成の学としての教育学を構成する知識の編成・普及の在り方について我が国の状況を反省する材料を得ることが期待され、さらに教員養成・採用システムの改善に向けた知見を得ることが期待される。最終年度に当たる本年度は、過去2年の調査のまとめを行うとともに、研究成果の公表に向けた作業を行った。具体的には、日本教育学会2011年度・関東地区研究集会報告書『教員養成において教育学教育の果たす役割』掲載の「教員養成における教育哲学と比較教育学」などの著作物を公表したほか、「フランスにおける教育哲学と教員養成」(林他編『教員養成と教育哲学』(仮題)東信堂、2013年刊行予定)や「西洋の教育思想と学校の歴史」(田中・橋本編『教育の理念・歴史』一藝社、2013年刊行予定)、「Science et technologie dans l'education et la recherche au Japon」(ストラスブール大学共同研究報告書、2013年刊行予定)など複数の刊行予定著作の原稿を執筆した。
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