「ベトナム高等教育改革アジェンダ2006-2020」は、2001年の「2001-2010年教育発展戦略」を質的に転換し、2006年のWTO加盟を至上命題とする政府の方針によって、まったく思想の異なる書き手によって作成され、後者の政策の方向性を180度転換するものであった。 社会主義的理念を維持したままの私的教育機関の拡大は、(1)大学資源の所有権と利益分配のありかたをめぐって、社会的混乱を引き起こしていること、(2)大学法制が未整備のままで、会社法など商法に基づく大学経営の実態が明らかとなり、(3)私立大学の設立と経営的利益が、市場経済の中の「優良企業」として位置づけられ、教育理念や研究環境を欠いたままの「産業」として私立大学が展開していることが明らかとなった。
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