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2011 年度 実績報告書

学校協議会における学校ガバナンスの基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22530852
研究機関一橋大学

研究代表者

中田 康彦  一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (80304195)

キーワード学校協議会 / 開かれた学校づくり / ガバナンス
研究概要

平成23年度は、横浜市立総合高等学校、大東学園高等学校、岡山県立落合高等学校、長野県辰野高等学校、埼玉県立川口北高等学校、札幌市立平岸高等学校を訪問し、生徒・教師・保護者による三者協議会・生徒・保護者による二者懇談会を傍聴するほか、関係者への聞き取りを行った。
調査研究の成果として具体的には、
1.日本の教育実践における学校協議会とは、意思決定(ガバナンス)への関与ではなく協議への参加という形態をとっており、そこには手段的価値としての側面と、目的的価値としての側面がある。
2.そこでは、意思決定における公正・公平性といった点よりも、子どものポテンシャルを引き出し、自信をつけさせるという教育目的が強く作用している。
3.同時に学校協議会は、子どもの発達成長にとっての資源・ツールとして利用されるだけでなく、保護者・教師・地域住民の学習と成長の場でもあり、このような場合には、地域住民へ開くことがより強く指向される。
4.「開かれた学校づくり」政策の中で、学校による情報の発信と収集が推奨されてきたが、ともするとアンケートの実施が自己目的化し、匿名性を保ったままでの限定的な意思表明が支配的となる。この場合、学校ガバナンスはより消費者性が強く発揮される場に転化する可能性がある。
5.公立学校固有の問題として、制度化の困難性がある。学校協議会の継続的な担い手であるはずの教員が定期的に人事異動するため、制度化による定着・継承を図ろうとするが、これはともすると形骸化・儀式化する可能性をはらんでおり、制度的定着に伴う発展課題として存在している。
ということを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度にはイギリス調査を予定していたが、日程調整が困難で実現しなかった。
しかしながら、国内調査は予定していた学校の訪問調査をすべて実施できただけでなく、札幌市立平岸高等学校のように年度初めに予定していなかった学校の訪問調査も実施できた。
また、理論的研究については順調に実施できている。

今後の研究の推進方策

イギリス調査は平成24年度内に実施する。
日本国内の学校訪問調査は引き続き実施する。
研究成果の年度内図書刊行が難しい場合でも、雑誌論文のようなかたちで発表することにより、活字として成果を年度内に残しておき、後年、図書化に向けた基礎を蓄積しておく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ベテラン教員の苦悩や孤立から職場づくりのあり方を見直す2012

    • 著者名/発表者名
      中田康彦
    • 雑誌名

      クレスコ

      巻: 130号 ページ: 20-25

  • [雑誌論文] 参加と共同、開かれた学校の意味を問い直す2011

    • 著者名/発表者名
      中田康彦
    • 雑誌名

      学校運営

      巻: 601号 ページ: 16-19

  • [雑誌論文] 新自由主義下での『地域主権』教育改革の基本性格と問題点2011

    • 著者名/発表者名
      中田康彦
    • 雑誌名

      教育

      巻: 789号 ページ: 69-77

  • [図書] 「教育の条理はどこへ」(教育実践検討会編『問い続けるわれら第2集-生涯学習人として生きる-』)2012

    • 著者名/発表者名
      中田康彦
    • 総ページ数
      76-87(524)
    • 出版者
      教育実践検討会

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公開日: 2013-06-26  

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