本研究の目的は、3年間で、住民の主体的な課題化学習の成立条件と当該フィールド「地域」における「個志向と集団志向の動態性を生み出す緊張力学」との連関構造を解明することである。この作業は、主体的課題化学習と日本的地域概念との連関構造の解明作業の一環である。1年目の平成22年度には、下記の成果が得られた。 1理論研究1=地域概念の日本的形態における「個志向と集団志向の緊張力学」に関する理論分析 上原專祿の「課題化的認識」方法の論理とその地域概念との連関構造の分析を深めた。 2理論研究2=地域概念の日本的形態の再モデル化 理論研究1を基礎にして、23年度に行う実践分析で用いる地域概念モデルの再設計(更新)を試みた。そのモデル構成要素(要件)は、(1)「自然村的秩序」のもつ内発的エネルギー、(2)「中央」勢力圏に対する自立志向、(3)生活・生産圏の異心円的複合構造、(4)「個志向と集団志向の緊張力学の備え、というこれまでの4点のみならず、これら4要素(要件)の基盤に、(5)として、「地域の生活価値・生産価値」及び「地域における合理的知」を不断に相対化する契機(上原專祿における「史心」精神)を醸成するエートスが存在すること挙げられる。 なお、本研究は平成22年10月に追加採択となった。同年10月から翌年3月にかけて前記した研究活動を行ったが、研究代表者である片岡の主な活動学会である日本社会教育学会の研究大会は例年9月開催であり、また、研究成果を投稿する予定の紀要等の投稿期限にも時期が適合せず、平成22年度中には発表機会が得られなかった。今後に学会発表及び論文投稿を予定している。
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