本研究は、「地域」概念の日本的形態が日本社会における主体的課題化学習を深める上で有効性をもつという仮説を検証した。再設計した日本的地域モデル(下記)を四つの実践事例に則して考察した結果、一定程度妥当することを検証した。その地域モデルとしては、これまでの片岡による研究(2007-2008 年)の成果((1)「自然村的秩序」のもつ内発的エネルギー、(2)「中央」勢力圏に対する自立志向、(3)生活圏の異心円的複合構造、(4)個人志向と集団志向の緊張力学の存在、という要件)に加えて、新たに(5)「地域における生活価値・生産価値及び合理的知」を不断に相対化する契機を醸成するエートスの存在を設定した。
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