研究概要 |
本研究の目的は、近年学際的に注目されているソーシャル・キャピタル(SC)の視点から、小学校区におけるSCの生成・拡充過程、教育効果に至る影響過程、アクセス決定要因等の探究を行い、小学校区を核とする地域紐帯の再生方法を提案することにある。 平成22年度は、先行研究の収集と整理を通して、今後の調査研究のベースとなる理論の構築を行った。その成果は、稲葉陽二他『ソーシャル・キャピタルのフロンティア』(ミネルヴァ書房、2011)に掲載されている。 また、平成22年度は、調査データの収集においても相当の成果を収めている。サーベイリサーチ部門では、児童生徒1,532名(福岡県)、保護者2,427名(福岡県)、教員638名(愛媛県)、校長469名(愛媛県)のデータ収集を終え、現在、解析中である。なお保護者調査は継続4年目、教員調査は継続2年目であり、今後とも、データ収集が継続される見込みである。保護者を対象とするサーベイデータの一部は、露口(2010)「学校組織のソーシャル・キャピタル-構造・機能・決定要因-」(日本教育経営学会発表)として成果をまとめ、報告している。 さらに、事例研究部門では、大阪府・兵庫県・佐賀県・福岡県・岡山県の小学校区においてSCの生成過程に関する調査が進められている。特に、保護者間、学校と地域、子どもと地域の紐帯については、独創的かつ優れた教育・経営実践の発見に至っており、研究知見がまとめられつつある。 平成23年度は、これらの量的・質的データの分析・整理を行い、平成24年度の「提言」につなげていく予定である。
|