2010(平成22)年の初年度は、台湾における高等教育の発展の現状、以前から続いている教員の需要と供給のアンバランスがどのようになっているのか、大学の再編策が進行する中で、教員養成を主とする師範系大学は今、どのような状況に置かれているのか、そして中心テーマである教員養成の学科・センターについての評価がどのように行われているのか、といった諸点について、現地調査および資料検討等により概括的な把握を行った。 その結果、台湾の高等教育は大学進学率が95%に達しほぼ全入時代に達するとともに、「集中」と「選択」、効率と研究の重視といった政策が進行していること。教員の需給に関しては、依然として少ない需要のなか、開放制の実施以後、大幅な供給過剰が続き、教職課程学生の質の低下も指摘され、徐々に大学の学科、教職課程センターも減少し始めていること。そして、それを加速させるかのように、大学再編策も進行していること。さらに、教員養成評価が、大学における教員養成を質と量の両面からコントロールする装置として機能しはじめていること、などが明らかになった。 すでに、2005年の大学法改正、2007年の大学評価弁法施行により、各種の大学評価が実施され、教員養成の学科・センターの評価も、「学科・大学院評価」、「校務評価」、「教員養成機関評価」の3本柱で実施されている。この評価の実施以降、すでに自主的に教職課程を閉鎖する大学も出始めている。今後、この評価がどのようなインパクトを与えることになるか、注目したい。
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