教育課程の理論と方法については、昨今世界的な見直しが進められている。それは、「総合的な学習」のように、これまでの教科教育とは異なる学習への注目によって、学習とは何か、学ぶとは何か、という根本的な問いに立ち戻る必要が生じたことによるものである。 保育の実践も、いわば総合的な学習である。したがって、保育における教育課程もまた子どもの学びとは何かという問いに立ち戻って、構築していく必要がある。保育が「遊び」や「生活」を中心とした教育実践であるがゆえに、その実践は、体験の羅列に留まりがちである。「遊び」や「生活」をコアにしながら、子どもの学びを実現するとはどのような実践なのか。本研究では、子どもが「探求する」という行為を軸に、子どもの学びが実現する教育課程の理論構築を目指すものである。 22年度は、まずはわが国の保育における教育課程の現状を調査し、その課題を整理した。そこでは子どもにとっての遊び理解、教育における体験の意味の理解が、臨床の場では困難な要因が見えてきた。 近年、世界的にも注目されている「森の幼稚園」などの実践は、保育における教育課程のパラダイム転換の一事例とも言える。これらの実践の調査と資料の翻訳、整理作業を進めながら、次年度は学びを実現するための教育課程の具体を仮説的に構築しながら、臨床の場と連携して検証を進める。
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