2年間の基礎理論研究、実践記録データーをもとに、国内外の保育における先駆的実践の記録を整理するとともに、それらの実践がどのように教育課程に反映されているのか、検証を進めた。 子ども自身が主体となり、探求を実現する実践を深めるには、時間軸に沿った教師側の計画ではなく、子どもが体験している内容を読み取り、学びにつなぐ教師の計画が必要となる。これまで、狭義の教育課程は、教師が事前に作成した時間軸に沿った全体的な計画を意味していたが、保育における教育課程は、子ども自身の学びの全体計画と捉えなおし、教師と子どもの相互の営みのデザインとして描いていくことが必要である。 特に昨今注目されているプロジェクト型の保育においては、時間軸に従って展開する計画は意味をなさない。子どもの多様に広がる体験をつなぐ計画(見通し)をデザインし、今の体験と学びの物語を評価し見直すという繰り返しの中で、計画を作成していく必要がある。その意味で、教育課程の検証を進めるためには、保育における評価の検証が必須である。 したがって、本研究の最終段階として、保育という営為の評価の方法についても検討を進めた。昨今の教育課程及び評価に関する研究において注目されているゴールフリー評価論などの研究は保育の領域では、いまだ十分に検証されていないが、保育における教育課程の評価を考察するうえでは、これらの研究はきわめて示唆的でもある。 本研究を踏まえ、今後は、保育という臨床的実践の教育課程を「評価」という側面から検証し、この研究を展開していく。
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