研究課題/領域番号 |
22530877
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
荒井 容子 法政大学, 社会学部, 教授 (70287837)
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キーワード | 成人教育運動 / 社会教育 / 生涯学習 / 社会運動 / 国際ネットワーク / 国際成人教育会議 / 国際成人教育協議会ICAE |
研究概要 |
1 ICAE第8回世界大会の参与観察の実施 2011年6月にノルウェーのマルメで開催されたICAEの第8回世界大会に参加した。82か国から約700人が参加し、国際成人教育会議のフォローアップ、開催地にちなんだ北欧の成人教育という、成人教育そのものを扱うテーマの他、気候変動とディーセントワークについても、今後の成人教育運動の重要な討議の柱として位置づけられ、多数の分科会に分かれて、国を越えた経験交流、意見交換が積極的に展開されたことを確認できた。Gender Education Office(GEO)が前日に企画した会議では、当研究者も、依頼されて東日本大震災に係る報告を行い、他方、自主企画に応募して、ICAE事務局メンバーの一人とともに、国内の運動と国際組織との連携の可能性を議論する部会を企画・実施した。 ICAE理事・会長の選挙が行われ、今回は会長が交代したが、これまでの方針を引き継いでの交代であること、またGEOがICAEの運動を中心的に担いつつある様子も把握できた。合意文書作成時に「ポピュラー・エデュケーション」をめぐって、北欧と東南・南アジアの運動間で理解の違いが顕在化した。この「違い」の分析の正確な把握とともに、ICAE執行部の認識なども検討すべき課題として確認できた。 なお、この大会では北欧の成人教育運動組織の会議も持たれた。当研究者は直接その会議に出席できなかったが、このネットワークに関する情報・資料収集の手掛かりを得ることもできた。 2 ICAEのセミナーへの参加 2012年1月にブラジルのポルトアレグレで実施されたICAEのセミナーに参加した。今回はICAEが2004年から実施してきた、各国の成人教育運動の担い手を国際的運動と結び付けて養成していくセミナーの修了者を対象に開催したものだった。そこで今回のセミナーを通じて、各国参加者にとっての過去のセミナーの意義を分析するという、ICAEの運動分析方法の新たなアイデアを、具体的可能性も含めて得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集した資料の整理・分析が遅れているが、当初想定していた以上に、ICAEの具体的な活動の展開過程が見えてきた。また、各国、各リージョンの動きも、少しずつ、その具体的な担い手等の手掛かりが見えてきている。
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今後の研究の推進方策 |
ICAEのリージョン組織の具体的な担い手とのコンタクトが少しずつ見えてきているので、実際のICAEの活動を継続して参与観察して情報を継続して収集する一方で、改めて、蓄積されてきた情報を整理し、調査リージョンの限定など、調査設計を修正する必要がある。 当初、本研究では今後のための端緒的調査と位置づけていた南米の運動についても、調査の具体的な可能性が出てきているので、このリージョンの調査の可能性も具体的に検討したい。
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