平成22年度は、保育園の園内研修を「保育の質」という視点から検討することを目的に、1年目として様々な園内研修に取り組んでいる保育園を対象にビデオ観察等を行った。 以前から行なってきた保育園同士の交流による研修(交流型研修)では、「1-2歳児の縦割り保育を考える」という二園共通の課題のもと、新たにネットを通じてお互いの保育状況を視聴しあうというシステムづくりを行った。そして実際に施行してみた結果、ネットにつながる環境が保育園内では一部の部屋に限られており、ネットを通じていつでも視聴できるというメリットはネットの環境整備が必要であることがわかった。この点が次年度の課題として、浮かび上がっている。 また園内におけるチーム交流型研修では、これまでの研修経験の積み重ねを生かし、保育者による主体的な課題設定のもと、実践の質の向上につながる成果が得られてきている。このスタイルの研修については園長の研修のとらえかた、取り組みの方法などが関連していることを仮説として検証することが必要であると考え、次年度の課題としたい。さらに本研究において、映像をもとに振り返る研修の手法は一定の有用性が確認されつつあると同時に、研究者の園内研修へのかかわり方も引き続き課題となっている。 さらにエピソード記述を取り入れた園内研修では、実施園は2年目を迎えるが、記述することの難しさを改めて実感しているようである。この研修が日々の保育にどう寄与する可能性があるのかについて、現在、記述したエピソードと研修を撮影したビデオをもとに分析中である。
|