本研究は、就学前教育・保育施設における共食が、他者への共感や連帯感をもつ機会としてどのように機能しているか、幼児期の共食と人間関係の育ちに関する教育的意義を把握し、共食時の保育者の援助の指標を検討して、保育者養成や現職教育に活かすことを目的としている。 平成22年度は、家庭外の集団生活における5歳児の共食場面で、保育者が子どもにどのように意図的なかかわりをしているのかを把握することを目的とした実態調査について、保育所に関しては、調査結果の分析を行い、国内外の学会で発表した。また、幼稚園に関しては、実態調査を実施した。具体的には、 (1) 兵庫県下の全認可保育所の5歳児担当保育者を対象とした保育所での食育および共食時の援助に関する実態調査結果について、特に食育の実施状況と共食時の保育者の援助についてまとめ、広島大学で開催された日本家政学会第62回大会で発表した。また、共食時の保育者の援助の傾向や特徴を、子どもや保育者自身の人間関係を視点としてまとめ、スウェーデン、ヨーテボリ大学で開催された世界幼児教育・保育機構(OMEP)の第26回世界大会で発表した。 (2) 兵庫県下の全幼稚園の5歳児担当教諭を対象とした幼稚園での食育および共食時の援助に関する実態調査を実施した。なお、本調査結果とその考察については、2011年5月に開催される日本家政学会第63回大会で発表予定である。 上記の実態調査は、本研究目的の遂行のために、必要かつ重要な資料を提供するものである。また、国内外での学会発表は、関係領域の研究者との情報交換の機会となり、今後の研究の深化のために非常に有意義であった。
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