研究概要 |
本研究の目的である保育者養成の課題を明らかにするため、平成25年度は、前年度実施した保育者志望の大学生に対する食生活に関する質問紙調査の結果をまとめ、昭和女子大学(東京都)で開催された日本家政学会第65回大会で発表した(2013.5)。特に①子どもが食事を楽しんでいることの指標として、仲間と美味しさを共感する、笑顔で食べる、会話を楽しむこと等を挙げていること、②家庭外の集団生活の場での共食は、仲間関係、マナー等、人間関係の育ちと関連があると考える傾向があること、③「楽しい食事」のキーワードは、人間関係に分類されるキーワードが比較的多く、これは、回答者が、子どもたちを見て「食事を楽しんでいる」と判断する視点と重なっていること、以上3点が、先に実施した保育者を対象とした調査(2010.1;2011.1実施)の結果と同様の傾向であるため、これらの事柄に関する保育者の捉え方は、現職を通して培われたものではないことが示唆された。加えて、より詳細に共食時の援助の実態を把握するため、幼稚園と保育所の5歳児クラスでの共食時の参与観察を行い、保育者(クラス担任)に対して、保育の意図や環境構成の工夫等をたずねる半構造的インタビューを行って、意図された保育計画と子どもの人間関係との関係性を探った(2014.2,3実施)。これらの結果から、共食時の5歳児は、外山(2000)が指摘している通り、仲間と共に話しながら食べることが安定した活動としてなり立っており、その安定性を活用して、仲間関係を深め、広げている姿が認められたが、一方、保育者は、子どもの仲間関係への意識とは裏腹に、ほとんどそのための工夫や言葉かけを共食時に行っておらず、保育者の意識と実践のギャップが示された。 上述の研究結果を含め、過去4年間の研究成果をまとめ、報告書を作成した(2014.3)。
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