保育者の感情ワークについて、主として新任の保育者を対象に継続的なインタビュー調査を行い、新任保育者がどのような感情ワークを行っているかを時系列で検討するデータを収集した。また、実習時の学生の姿と併せて検討するために学生についてもデータを集めた。これらの結果から、新任保育者の感情ワークの態様を詳細に検討することが可能になった。学生時から特に実習指導担当保育者や実習責任者(園長・主任等)に対する感情ワークの萌芽が認められ、それが、保育や子どもについての学びを阻んでいると考えられる。また、新任保育者は、周囲の人間関係を築く過程で感情ワークが行われ、対象の保育に対する考えや実践の意図を探ろうとする。その結果、保育において尊敬できる部分があり、自分と考えが合う人などに対しては肯定的な感情ワークが行われるようになり、積極的に学び取ろうとするのに対し、否定的な感情ワークが行われる対象との関係は消極的で形式的になっていくと考えられるというように感情ワークの対象と内容に変化が認められる。これらについてはさらに精査が必要であるが、感情ワークのあり方を明らかにすることによって、保育の質向上に寄与できると考える。 また、これらから得られたデータ、先行研究資料を検討し、質問紙予備調査を行い、現在データ入力を終え、内容の検討を行っているところである。
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