研究3年目の平成24年度(研究最終年度)は、前年度に引き続き、沖縄各地の就学前教育の実態調査や関係資料の収集を図った。前年度までの宮古・八重山諸島におけるヒアリング調査の文字起こしと分析は継続した。収集した字誌での記述は、省略又は簡潔であるがために、その地域の実態がなかなか把握できない地域もあった。元字幼稚園保母のヒアリングについても、記憶が曖昧であったり、事実認識について明らかな誤り等が散見したりしたが、それでも、地域の字公民館附設で幼稚園教育が展開し、多くの幼少の子どもが通っていた事実は重かった。 これまでの資料分析とヒアリング調査から、宮古・八重山諸島を含めて、沖縄全域で字幼稚園が存在し地域で子どもの子育てをする教育組織が存在していたことは沖縄的特徴として挙げることができる。那覇等の都市部では、公私立園が設立されていたので、字幼稚園は少ないが、沖縄本島の中北部では圧倒的な数の字幼稚園が営まれていた。 今回の字幼稚園の成立過程を調査することで、この地域の教育組織(字幼稚園)が、1960年代の中頃以降、公立幼稚園として再編・統合される過程がみられた。これは、地域の自主的な教育組織が「公立化」されることを意味した。
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