米国のdual enrollmentとかconcurrent enrollmentと呼ばれるプログラムは、高校生に経済的な負担をあまりかけずに大学レベルのコースを高校または近隣の大学やコミュニティ・カレッジ等で受講できるようにしているものである。高校と中等後教育機関とが連携協力し、教科内容の基準を定め、その教科を受講した高校生に、高校の単位と大学の単位を同時に与えるのでdual credit(二重単位)プログラムとも称される。近年、このプログラムの導入が急速に進んでいて、このプログラムのメリットも各方面から指摘されている。しかし、最大の関心事は、「このプログラムで取得した単位は、質において大学の単位と同等か」ということである。研究では、この二重単位制度を導入している各州における動向、二重単位を認めている各教科の内容基準、二重単位制度の運営上の支援体制及び評価等を調査して、いかに単位の質の保証が進められているかを明らかにする。 平成22年度は、資料・文献については、インターネットでEducation Weekの記事に目を通し、米国の教育全般の動向をフォローしながら、特に高大接続に関する政策や実践についての情報を収集した。また、高大接続に関する研究の第一人者であるDavid T.Conley氏のCollege and Career Ready (2010)を読み、大学での学習に求められる能力・資質とはどのようなものであるかについて考察した。 海外調査では、ミネアポリスで開催されたNACEP会議に出席して、大学進学につながる高校のさまざまな取組についての情報を得た。特に、AVID (Advancement Via Individual Determination)やKIPP(the knowledge Is Power Program)など特徴的な取組について学ぶ機会を得た。さらに、カリフォルニア州での調査では、カリフォルニア大学(UC)やカリフォルニア州立大学(CSU)に入学するために必要な高校で履修すべきコースをA-Gで示したA-Gコース学習について調査するとともに、オンラインで大学入学資格取得を可能にする学習コースを提供しているApex Learning社の取組について内容基準を中心に調査を行った。
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