これまでの研究蓄積を通じて、我が国における先進的な大学では、日本型IRを起点としその延長上に、業務の高度化・効率化と人材養成を同時に実現するOJD^2、学術研究や正課教育のレリバンス再興などの意欲的な試みが、役職員を中心として展開されていることが明らかになりつつある。今年度は、混沌とした現実の中から新たな可能性の萌芽を探し出すこと等を目的として、インテンシブなインタビュー調査を多数実施した。 調査を通じて明らかになったことは、インフォーマルなものも含めれば、直面する問題状況に真正面から向き合い、創意工夫を重ね解決に向けてプロジェクトを企画・実施する大学職員の存在は、例外ではないということである。大学マネジメントの現場から生まれたこれらプロジェクトに学生を巻き込んでいるケースも多く、そこではほぼ例外なく、担当した職員が驚くほどの教育効果が得られている。高い教育効果が期待できることから、正課外教育として明確な位置づけがすでに与えられている先進的な大学もある。従来のような支援的役割を超えて、職員も、大学教育の充実発展に直接的に寄与しはじめているのである。ここで問われているのは、プロの職業人として、あるいは人間としての「職員の生き方」に他ならない。 調査研究を通じて得られたこの知見をベースにして、2011年2月に、大学職員を対象とするワークショップ「大学職員の生き方が学生を育てる」を企画・実施した。
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