研究課題/領域番号 |
22530906
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
加藤 毅 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10233800)
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キーワード | 大学マネジメント / 大学職員 / インスティテューショナルリサーチ |
研究概要 |
これまでの研究蓄積を通じて、我が国における先進的な大学では、日本型IRを起点としその延長上に、業務の高度化・効率化と人材養成を同時に実現するOJD^2、学術研究や正課教育のレリバンス再興などの意欲的な試みが、役職員を中心として展開されていることが明らかになりつつある。今年度は、プロジェクトと一体化し成果に直結する日本型IRのモデル化と、IRという新しい業務を担う人材の養成システムの可能性、という2つの視点を中心とする、インテンシブなインタビュー調奪を多数実施した。 トップから命ぜられたデータを仕様通りに収集するというスタイルではなく、業務改善や問題解決への主体的取組の初期段階で、日常業務の中で自組織の現状に関する調査がインフォーマルに実施される。受動的な調査ではなく自ら働きかける「アクションリサーチ」を通じて、様々な偶発的出来事が起こり、そこから漸次的に文脈が構築され、成果につながるプロジェクトへと発展する。これが、インタビュー調査を通じて明らかになった、日本型IRの典型と考えられるスタイルである。 IRという新たな職務を担う職員の養成システムの在り方についても、先進的な試みが直面している、あるいはこれから直面することになる問題群を引き起こす5つの要因を明らかにした。同時に、このような問題状況を克服するための方策について、インテンシブな検討を行った。 本調査研究を通じて得られたこの知見をベースにして、2012年2月に、大学職員を対象とするワークショップ「大学職員養成プランの新段階」を企画・実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の組織風土に根ざした独自のIR活動群について、初年度は、インテンシブなインタビュー調査等を通じて、様々な具体的事例を発見し、分析を行うことができた。今年度は、発見された多様な事例に共通して観察される仕事のスタイルを、新たにモデル化する事ができた。本モデルを更に精緻化すると同時に、そこから有用なインプリケーションを導出することが、今年度最大の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえ、さらにインテンシブなインタビュー調査を重ねると同時に、調査を通じて同定された日本型IRのスタイル等について、比較を可能とするようなモデル化を試みる。
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