研究課題/領域番号 |
22530908
|
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
佐藤 郡衛 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20205909)
|
キーワード | 海外子女教育 / 多文化教育 / 補習授業校 / 教育戦略 |
研究概要 |
平成23年度は、ロサンゼルス補習授業校あさひ学園高等部の卒業生についての追跡調査を行った。ロサンゼルス在住者2名と日本在住者8名(40歳代4名、30歳代4名、20歳代2名)を対象に詳細なインタビュー調査を実施した。主な洞査項目は次の通りである。「海外の滞在歴」「補習授業校について」「進路選択について」「現地校について」「交友関係について」「現地での生活」「日本との情報の接触度合い」「日本との行き来」「卒業後の進路」「就職・職業について(就職した理由、職場選択の理由、転職の有無、職場の雰囲気など)」「帰国生であることを周囲からどのようにみられたか、今はどうか」「今振りかえって補習授煮校をどのようにとらえるか」「進路選択やキャリア形成にとって補修授業校はどのような意味をもったか」などである。 その結果、世代間での共通点と相違点が明らかになった。各世代とも、補習授業校の高等部に対して肯定的な意味づけを行っており、そこでの交友関係を重視し、その関係を維持している。青少年の体験を共有しているため、しかも、進路選択や職業選択においてもそのネットワークを活用している。しかし、世代間での相違点もある。特に、40歳代と30歳以下ではいくつかの点で違いがみられた。(1)40歳代は補習授業校が日本の情報を得る唯一の場だが、30歳代、20歳代はインターネット世代(windows98」普及以降)であり個別に日本の情報に接している。(2)40歳代は高等部卒業後にアメリカの大学への進学者が多いが、30歳代以下では日本の大学への入学、さらには日本の大学への体験入学や留学といった形態が多くなる傾向がある。(3)各世代とも補習授業校の人間関係を維持しているが、特に40歳代で進路選択や職業選択にもその友人関係が影響を与えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この調査研究では、調査対象者の協力を得ることが不可欠である。平成23年度は、あさひ学園高等部の元教員の協力を得ることができたため、ほぼ計画通りに調査を行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は最終年度であり、補充調査が必要である。このため、再度、元教員の協力と平成23年度の対象煮のネットワークを活用させていただき、さらなる聞き取り調査を9月までに行う。その後、これまでの調査結果を総合的に検討し、最終的な成果をまとめる。
|