研究課題/領域番号 |
22530914
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中井 俊樹 名古屋大学, 高等教育研究センター, 准教授 (30303598)
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キーワード | 教育学 / 教育政策 / 大学教育 / FD / 比較教育 / 学生による研究体験 |
研究概要 |
FDの義務化に伴い、大学教員の教育と研究の葛藤が大きな課題となっている。近年では、教育と研究の相乗効果を目指した研究が始まりつつあるが、具体的なカリキュラム、大学教授法、FDの内容に反映できるだけの十分な研究が蓄積されていない。本研究では、欧米で始められている実践的研究を踏まえて、日本の大学において有効な教育と研究の葛藤を超えるFDの理念と方策を明らかにすることを目指している。 平成23年度は、大学生の研究体験(undergraduate research)に関する論点の整理と事例分析を行った。海外の事例としては、アメリカの学生研究体験協議会(Council on Undergraduate Research)とオーストラリアの高等教育学会(Higher Education Research and Development Society of Australasia)の具体的な取り組みを分析した。 なお、日本の事例としては、東京大学の実践する教養学生に対するUROPによる研究活動体験、中京大学の産学連携課題解決型PJによるマネジメント力の育成、日本福祉大学の教員養成におけるサービスラーニングの体験の3つをとりあげ、2012年3月3日開催の大学教育改革フォーラムin東海2012のおいて、大学生の研究体験に関するパネルディスカッションを行なった。 これらの調査により、学生の研究体験という概念は、日本の大学の学士課程を見直す一つの視点になると言える。学士課程の学生が大学の研究とどのような関係をもつのかという問いは、日本の大学においても重要である。学生が本格的な研究活動を体験せずに卒業してしまっているというアメリカの大学に向けられた批判や、卒業論文が本人と指導教員にしか読まれないというイギリスの大学に向けられた批判は、日本の大学においても再考すべき課題と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年の研究期間の2年目として順調に進んでおり、最終年度で当初の目的に達成することができると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するためには、アメリカの学生研究体験協議会での議論をきちんと分析する必要がある。最終年度にアメリカの学生研究体験協議会の大会に参加してこれまで不明確であった論点を明確にする予定である。
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