研究概要 |
3か年の研究計画の第2年度にあたる平成23年度には,初年度の成果をふまえたうえで,引き続き東アジア諸国・地域(対象は中国,台湾,香港,韓国,日本)の高等教育制度および大学院入学者選抜制度に関する文献資料の収集・分析を行うとともに,個別機関を訪問して聞き取り調査を実施した。前者については,関連する日本語・英語・中国語文献の収集を行い,歴史的変遷および現行制度の分析を進めた。後者に関しては,中国(北京師範大学)と台湾(台中教育大学)で大学院入学者選抜制度に関する聞き取り調査を行い,関連情報の収集を行った。これに加えて,ベトナム(ベトナム教育科学研究所など)において大学院教育を含む高等教育の状況について,基本的な情報の収集を行った。本年度の研究成果としてはまず,「東アジア諸国における高大接続-大学入学者選抜方法の改革に焦点をあてて-」(『高等教育研究』第14集)において,大学院入学者選抜方法を比較考察する枠組みとして想定している大学入学者選抜の国際比較を行った。個別国に関する研究として,香港に関して「香港におけるトランスナショナル高等教育の展開」(『比較教育学研究』第43号)で高等教育の拡大状況とトランスナショナル教育の展開を検討し,台湾について「台湾における高等教育の構造分析」(『大学論集』第43集,廖于晴と共著)において台湾の高等教育システムを機関別の特徴に焦点を当てながら多変量分析を行い,その全体的な構造を明らかにした。これに加えて,中国の大学入学者選抜制度に関して,台中教育大学(台湾)で開催された2011大陸教育学術研討会で,比較的に考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3か年の研究計画のうち第2年度にあたる今年度は,年度当初にたてた計画をほぼ遂行できており,個別国についての研究成果を公表するとともに,本研究課題で比較の枠組みとして用いることにしている大学入学者選抜制度の国際比較についていっそうの検討を行うことができた。当初計画のうち,韓国における現地調査は行うことができず,この点は次年度の作業として持ち越しているが,関連情報の収集・分析を通じて,基本的な理解は進めている。
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