研究概要 |
平成23年度は,本研究課題における二年目の研究計画として予定されていた通り,わが国大学教職員の年金・退職金制度に対する個人選好や関連知識を把握するためのアンケート調査を実施した。アンケート調査票の作成にあたり,米国カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)高等教育研究センター所長や,カリフォルニア大学システムにおいてUC全体の年金制度調査研究を担当した研究者らと数回にわたり議論を交わした。また,米国高等教育機関の年金制度研究の重鎮といえるノースカロライナ州立大学の教授とも意見交換し,アンケート調査を実施しデータ分析をおこなう上でのアドバイスをいただいた。 アンケート対象者としては,広島県内に所在する全ての国公私立大学(放送大学を除く)に勤務する専任教員および正規・契約・嘱託職員(アルバイトを除く)約7,000人を対象に,確定給付型年金・確定拠出型年金といったプランオプションや年金・退職一時金といった受給形態に対する個人選好や知識,退職後の生活準備や資産形成に対する意識等を設問とするアンケート調査票を配布した。有効回答者数は約1,600人であり,回収率としては20パーセント強を確保した。本年度は研究代表者(渡邉)がUCバークレー客員研究員として従事し,長期海外出張(平成23年2月18日~平成24年3月31日)中であったため,実質的には研究分担者(安部)が業者委託の上,国内におけるアンケート調査票の配布および回収作業等を指示・担当した。 本年度の研究業績としては,わが国の年金制度に関する業績として学術論文1編(共著),また大学院改革に関連する学術論文1編を海外学術論文誌から掲載または掲載予定としている。大学年金アンケートの統計処理・分析については,引き続き平成24年度に実施し研究成果に繋げていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題における最終年度となる平成24年度は,平成23年度に回収したアンケート調査票をベースに定量分析を実施する予定である。わが国の大学教職員を対象とする年金選好・知識に関するアンケート調査としては,おそらく初めての試みであり,カリフォルニア大学バークレー校やノースカロライナ州立大学研究者からも分析結果に対して期待されているところである。平成24年度は定量分析結果を学術論文として纏め,国内外学会および学術論文誌への掲載を目標として研究分析と論文執筆に専念する。
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