研究課題/領域番号 |
22530928
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
酒井 朗 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (90211929)
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研究分担者 |
保坂 亨 千葉大学, 教育学部, 教授 (30173579)
木村 文香 江戸川大学, 社会学部, 講師 (70424083)
伊藤 茂樹 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (70251569)
児島 明 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90366956)
小玉 重夫 東京大学, 教育学研究科, 教授 (40296760)
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キーワード | 長期欠席 / 不登校 / 不就学 / 学校に行かない子ども |
研究概要 |
本研究は、長期間にわたり学校に行かないでいる多様なタイプの子どもの問題を、教育権の保障という観点から統一的に捉えることで、問題理解に再考を迫るとともに、法制度や行政システムを批判的に検討する。日本には、不登校などの長期欠席の子ども、就学免除・猶予者、外国人の不就学者、高校中退者など、様々な「学校に行かない子ども」が存在する。しかし、これまではこれらの子どもを統一的に把握できずにきた。また、各種の問題の共通性と固有性についても整理が必要とされている。こうした分析や議論の整理に基づいて、現行法制度や行政システムを批判的に検証し、福祉国家における教育行政の在り方を再検討する。 本年度は下記の2点を明らかにした。(1)学校基本調査はその性格上、学校に行かない子どもの全体量を把握することが出来ない。外国人不就学者数は同調査では不明である。また、毎年の高校中退者数は報告されているが、最終的に高校教育を修了しないまま成人していく者の数は分からない。アメリカでは、ハイスクールの中退率と修了率の統計が取られているのとは対照的である。(2)学校に行かない状況に陥るかどうかは、社会経済的要因に強く規定されている。(1)不登校については、社会経済的要因に強く規定された脱落型不登校が一定割合を占めることが伺える。(2)全日制高校に行けない場合、セーフティネットとしての定時制や通信制、高等専修学校に通えるかどうかを規定するのも社会経済的要因である。(3)児童擁護施設の子どもの高校等進学率は2004年現在で87.7%であり、全国平均と比べ、約10%の差が存在する。 今後は高校中退者なども含め、各カテゴリーの学校に行かない子どもの実態を明らかにするとともに、その出現を規定している要因についてさらに分析を加える。また、彼らを学校につなぎ止めておくために、学校や自治体に何ができるかを検討し、政策提言を行いたいと考えている。
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