本研究課題の主要な成果は、以下の四点である。 1.クリーミーレイヤーに関する研究;日本では殆ど注目されることのなかった、インドにおけるクリーミーレイヤーの定義、社会的位置づけなどを明らかにすることができた。また、クリーミーレイヤー大学生・大学院生の学校歴、意識などを数は少ないが調査をした。 2.SC/ST/OBCs大学生・大学院生に関する調査を実施;インド・タミルナドゥ州チェンナイおよびカルナータカ州マイソールにおいて、SC/ST/OBCsの大学生・大学院生に、家庭の資力/学校歴/階層意識などについてアンケート調査を行った。また、主に高等教育に在籍しているOBCs学生に、追加面接調査を行い、OBCs学生の中での階層性を明らかにした。 3.社会的弱者層の教育機会の多元性・多様性;これまで知られてきた留保制度など以外にも、社会的弱者層は様々な教育機会、例えばマイノリティ・インスティテューションの利用、セルフ・フィナンシャル・コースの利用などを経て学校教育機会を利用していることを明らかにした。 4.RTE法に関する研究;本研究を進める中で、高等教育だけでなく初等・中等教育の教育機会保障についても併せて検討するため、2009年無償義務教育に関する子どもの権利法の成立・施行に関する研究も行った。同法の成立経緯・概要を検討し、それが社会的弱者層の教育機会と大きく関わっていることを明らかにした。
|