研究課題
本年度は研究実施計画にもとづき、(a)「映像データ分析に基づく学校的社会化過程の実証的解明」(b)「個性調査簿分析による『個性』概念の成立と変遷過程の解明」の2つのテーマへの接近を試みた。まず(a)については、本研究の一貫として蓄積された映像データから分析を行い、その成果を第62回日本教育社会学会(関西大学)において発表した。入学問もない小学校1年生がいかにして「児童」になっていくのかという本研究のテーマは教育社会学会および教育学研究において認知されつつあり、「学校的社会化」への関心も高まっている。また、本学卒業生の小学校教員との研究会を年2回(2010年7月、12月)実施し、現場の実践的関心をもとに本共同研究で得られた知見に対する意見交換を行っている。次に(b)については、本研究の前身である平成19年度~21年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究「問題行動・指導・評価をめぐる歴史・社会学的研究:子どもへの〈まなざし〉に着目して」(課題番号19530761、研究代表者:北澤毅)において収集した明治期以降の小学校の学籍簿・個性調査簿等の歴史的史料の収集を継続して行った。本年度は茨城県(2010年5月~7月)と山形県(2010年9月)の小学校に保存されている各種調査簿等の収集を終え、データベース化に着手している。また、「児童」という小さき存在を介した日本独自の教育・学校文化を解明する研究の一貫として、明治期の新聞記事を中心に「児童虐待」の成立と概念的変遷過程に関する調査も並行して行っている。以上の個性調査および児童虐待に関する歴史的研究については、第63回日本教育社会学会(お茶の水大学)において研究成果を報告する予定である。
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立教大学教育学科研究年報
巻: 第54号 ページ: 5-18
音楽教育実践ジャーナル
巻: vol.8, no.2 ページ: 14-21
巻: 第54号 ページ: 51-62