高校教育を受ける機会がどのように提供されているかを把握することは、社会的不平等や社会的格差の問題を考える上で非常に重要な課題となる。本研究は、高校教育段階に焦点をあて、公立、私立といった設置主体および地域性(都道府県レベルの差異)を軸にその提供の構造を解明し、規定要因を明らかにすることを最終的なゴールとしている。この課題に答えるため(1)定量的データベースの作成とその分析、(2)定性的資料の分析の2つの側面からアプローチしていく。本年度は、(1)『全国学校総覧』に基づいた年度ごとに学校単位でのデータベースの作成、(2)府県レベルでの高校政策に関する資料の収集、の2つの作業を行うことにより、次年度以降の研究に必要となる基礎的なデータの作成および収集をおこなった。より具体的には、(1)では、昭和30年版(データは1954年)、昭和34年版(データは1958年)、昭和36年版~昭和47年版(データは1960年~1971年)の各年の『全国学校総覧』をもとに、設置主体、学科、生徒数などのデータを学校ごとに入力した。(2)については、九州(福岡県、長崎県、宮崎県)、四国(徳島県、香川県)、中国(広島県、山口県)、近畿(兵庫県、大阪府、京都府)など西日本を中心に高校教育政策に関する府県レベルでの資料を収集した。特に、高校入試の選抜制度や学区制の変遷、新設高校に関する議論などに関する資料中心に、また、県議会の議事録や学校史などの資料の収集もおこなった。
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