「書生」と呼ばれていた学徒たちはいかにして「学生」になったのか。明治初年から昭和戦前期に至るまで、エリートの卵としての「学生」のアイデンティティは、いくつかの節目ごとに変化をとげてきているが、その過渡期に焦点をあて、学歴エリートの代表たる旧制高等学校の学生を中心に、旧制中学・高等女学校の生徒も含め(彼らを総称して「学生」と表記する)、鍛錬、衛生、娯楽、趣味、恋愛、野心、運動、エリート意識、教養といった身体管理の技法や道徳観をめぐる様々な言説が「学生」たちにとってどのような"世界と自己とを意味づけるコード"として受容あるいは反発されてきたのかを、地方メディア(新聞、雑誌の報道や連載小説など)と「学生」側の校友会誌や日誌類、名簿類を相互に対照させながら分析した。
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