高等教育の国際化に関連する図書や論文記事などを中心に、文献調査を行った。世界の高等教育界においては、コンソーシアムまたはネットワークなどといった名称で、大学のグルーピング化がすすむ一方で、実際の活動内容や事務局の運営体制については様々な問題が指摘されている。グルーピング化の動向としては、欧州や北米、アジアの有力校が中心となっているケースが多いが、地域別や目的別で組まれたより実践的なコンソーシアムも乱立している。 チェコ及びアルゼンチンで開催された、高等教育の国際化と大学連携に関する学会に参加する機会を得たため、日本における高等教育の国際化状況及び、国際連携の具体例を紹介し、各地域での国際化動向について現地関係者と議論した。東欧及び南米の高等教育分野においては、国際化に関する当事者間での議論が始まったばかりである。欧州や北米の大学を中心に促進された大学の国際連携の流れや、コンソーシアムによるグルーピング化の流れの中に、これらの国や大学がどのように関わっていくのかについて、様々な意見交換を行った。 世界の高等教育論においては周辺的とされてきたこれらの地域の動向を注目することが、本研究の新しい切り口となることがわかったため、来年度以降の研究計画においても調整を加えたいと考えている。つまり、既存のコンソーシアム及びその参加校のケースのみを追うのではなく、国際教育交流にこれから参画しようとする国及び大学のケースについても追究していきたいと考えている。
|