本研究は、大学の国際コンソーシアムを対象とし、グローバル化の中で激化する高等教育の国際競争を文脈としながら、個別の大学がいかに大学間国際連携を展開し、活用しようとしているのかを明らかとすることを目的とした。国際教育関連会議(NAFSA,EAIE、APAIE等)において大学間国際連携の動向について調査を行った他、特定のコンソーシアムの年次総会に毎年参加し、その意思決定過程をケーススタディの対象とした。 大学の国際コンソーシアムとは、一般には国家を超えた大学間の連携体制を設立し、共同研究、学生交流、財政・資源面での協力を行うことをめざして運営されている。世界には多数の国際コンソーシアムが存在しており、日々誕生、変化している。大別すると、組織連携型/特定目的共有型、全世界型/特定地域型、公募加盟型/招待加盟型といった枠組みで分類することができる。 本研究では、組織連携型かつ全世界型かつ招待加盟型であるコンソーシアムの例として、特定のコンソーシアムを取り上げ、年次総会への参加や関係者へのインタビューによってケーススタディを試みた。またその特徴を明らかにするため、特定目的共有型/公募加盟型である特定のコンソーシアムとの比較を試みた。前者では、地域や目的を限定しない代わりに、加盟校による組織運営参画が重視され、活動内容や運営規定などすべて加盟校による協議に基づいて決定されるため、事務局機能は、組織間調整が主となり、組織間のコミュニケーションを充実させることが要となるなど、個別の大学が国際コンソーシアムを活用する上で重要となる点があきらかとなった。個別の大学は、多々あるコンソーシアムの中からそれぞれの政策課題や戦略に適したものを選別するだけでなく、加盟校として組織運営や意思決定に影響力を発揮すること、つまり、国際連携の中でリーダーシップを発揮することがより重要であるといえる。
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