本研究の目的は、近年の高校教育改革の成功に向けて高校教師がどのように取り組んでいるか、また、高校教育改革下における高校教師に求められる資質能力は何かを明らかにすることである。 平成24年度に取り組んだ1つ目は、進学重視の普通科の改革の課題を探るために普通学科、とりわけ進学に傾斜した教育を実践している高校を取り上げて、当該高校で学ぶ生徒の生活と学習がどのような現状にあるかを探り、論文を作成した。調査結果では、学習からの逃避とか、学習時間の減少といった高校生を取り巻く今日の学習の問題が指摘されているが、進学校の生徒に関する限りこうした指摘は当てはまらなかった。学習時間量は多く、学習の重要性を認識し、将来の進路(職業選択)も、学習の成果の先に存在するものと把握している。大学進学率が高くない高校生に見られた学習時間量の少なさや高校在籍時の学習とは関連性が高くない進路志望といった特徴とは、明確な差異がみられた。 2つ目に取り組んだことは、総合学科高校における教師の教育活動や指導上の重点目標を明らかにし、今、総合学科高校の教師に求められていることは何か、とりわけ、今日の教育の課題に対応できる、高校教師に求められる指導力とは何かを中心に、明らかにしようとした。総合学科高校の校長340名に対する郵送調査を行い、179名の回答を得ている。現在、回収作業と分析作業を進めている。 3つ目に取り組んだことは、普通科高校から発展したとも言える小学科を設置する高校における教師の教育活動や指導上の重点目標を明らかにし、今日の教育の課題に対応できる、高校教師に求められる指導力とは何かを中心に、明らかにしようとした。小学科を設置する高校の校長367名に対する郵送調査を行い、146名の回答を得ている。現在、回収作業と分析作業を進めている。
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