研究概要 |
本研究は,2009年のアメリカの高等教育法の修正に際して学生のラーニング・アウトカムズ重視の政策が検討された経緯のインパクトに関し,以下の二つのことを試みることにしている。ひとつはアクレディテーション基準とラーニング・アウトカムズの評定に関わる高等教育法の改正の実態,もうひとつはアメリカの機関アクレディテーションと専門アクレディテーション基準へのラーニング・アウトカムズの評定議論の反映の実態で,これらふたつは悉皆的に調査して,政策議論が政策変更およびアクレディテーション基準にどのように影響したかをもれなく明らかにすることを目的にしている。平成22年度には高等教育法の修正およびアクレディテーションをめぐる歴史的議論に関する文献研究を行い,その成果を雑誌論文として公表した。また,学修成果指標の基礎的な形態である単位制度について,その歴史的展開を整理し今日のラーニング・アウトカムズ測定の議論との対比を行って京都大学におけるシンポジウムで発表した。現地調査は年度の終盤に遂行することになったが,二つの地域アクレディテーション団体とひとつの高等教育機関での聞き取り調査を行い,ラーニング・アウトカムズ議論に影響を受けた地域アクレディテーション団体と,大きな影響を受けていない地域アクレディテーション団体の別があることを確認した。この成果は,現在アメリカで法整備が続いている単位制度の見直しの議論の推移と共にすでに23年度初頭に文部科学省高等教育局における報告を行ったが,年度内に論文ないし研究ノートとしてまとめて発表する予定でいる。
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