平成24年度は,研究計画の最終年度として前年度までの成果の公表と,当該年度における調査の継続および成果のまとめを行った。前年度までの成果としては,まず,学習成果重視の傾向を具体的に示す営為として,アメリカにおける学生の学習成果に関わる情報公開の種々の方策について,その発展の背景と過去10年以内に開始された政府および諸団体による試みに加え,アクレディテーション団体が適格認定のスキームの中で行う学習成果情報の提供の新たな枠組みについて論攷をまとめて専門学術誌を通して公表した。 また,適格認定と政策の関連に関しては,東アジアおよび東南アジアの質保証機関に対する政府の関与の度合いを検討し,アメリカのアクレディテーション団体による適格認定の方針に対するへの連邦政府の関与の状況との比較を含む考察を行い,その結果を基にフランスで開催されたアジア欧州連合(ASEM)の高等教育質保証機関の会議で基調講演として発表した。 当該年度に継続して行った調査として主なものは,アメリカの地域アクレディテーション団体のひとつである西部協会(WASC-Sr)に訪問調査を行ったことである。この訪問調査においては,1単位あたりの学習時間の確保を含む学習成果に関する連邦政府の政策への,アクレディテーション団体としての対応状況や,同協会が開発した高等教育機関の第三者評価用のルーブリックなどについて聞き取りを行うとともに同協会の会長ほか専門家との討議を試みた。この成果は北里大学高等教育開発センターにおける講演のほか,高等教育専門紙の掲載記事としてすでに公表している。さらに,平成25年5月にはこの調査の成果を基に日本私立大学協会附置私学高等教育研究所主催の講研究会でも講師として講演する予定である。
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