研究概要 |
第二年度は,国語科におけるネット・コミュニケーションの学習に関する提案授業の実施に向けて研究を行った。 まず,情報通信メディアの特質とそこでのコミュニケーションに関して,前年度にとらえ得た視点を踏まえ,特に「話すこと・聞くこと」の学習内容,情報モラル教育との関連に留意しながら,ネットワークへの参画に求められるコミュニケーション能力を学習内容として抽出した。 次に,それらの学習内容とネット・コミュニケーションの状況との対応を考えながら,授業化のポイントとなるコミュニケーション場面を抽出し,その場面ごとに具体的な学習内容と言語活動例を,主に中学校段階での学習を想定して具体化した。特に言語活動例については,インターネットを活用できない学習環境も視野に入れて,機器による情報ネットワークを使用しない学習活動を,準備的な活動として位置づけながら構想した。 さらに,以上の授業構想にもとづき,北海道内の中学校において,1年生を対象として提案授業を行った。授業案については,実施校における生徒の話し合い能力や情報リテラシー,また,コンピュータ及びネットワーク環境の実態から,実施担当の教諭と綿密な協議を重ねながら調整した。その結果を踏まえて,BBSにおけるコミュニケーションがどのようなものであるか,また,そこでどのように発言すれば,読み手にとって有益な発言になるのかを理解することをねらいとして,3月21~22日に2時間の授業を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネット・モラルの問題を,国語科の学習指導にどう関連づけるかについての追究に手間取ったために,理論的な学習の枠組みを構築するのに時間がかかった。それに伴い,中学校における授業の実施時期が年度末にずれ込んだため,授業の分析に着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を集約し,ネットワーク・コミュニケーション学習の内容・方法についてどのようにとらえられるのか,理論的に示す。 まず,本年度の中心的な作業として,前年度に実施した中学校における授業記録の分析・考察を行う。 その成果と課題を踏まえて,中学校段階でのネットワーク・コミュニケーション学習の内容を系統化し,主要なポイントについて具体的な授業案を示す。
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