本年度は,研究の最終年度であるため,前年度に実施した提案授業の結果の分析結果を踏まえながら,本研究成果の集約を行った。 理論的な成果については,国語科におけるネットワーク・コミュニケーション学習の枠組みを示した。要点のみ述べれば,その学習の目標は,ネットワークを公共的な対話の場として参加・貢献できることに置くことができる。その目標からすれば,従来の「話すこと・聞くこと」領域における学習の1つの活用場面であるととらえることもできる。しかしながら,ネットワークは,そこでの発言をアーカイヴし,発言者の意図の有無に関わらず,別のコミュニケーションに巻き込むようにシステム化されている。したがって,そのようなメディアの理解を図ることが必要になる。また,それを踏まえた情報活用・構成の技能・知識も学習の射程となる。 実践的な成果については,前年度に実施したBBSにおけるコミュニケーション学習の授業を分析・考察した。その成果は,理論的枠組みの構築にも生かされているが,実践的な示唆としては,話し合いの中途で,発言の展開や必要な発言の仕方に気づかせること,また,発言に対する反応を対面的に与えることが,学習において効果的であることが見出された。 以上,要点のみ述べたが,いわゆるメディア・リテラシーとしてとらえられるインターネットの学習と,従来からの国語科のコミュニケーションに関わる学習とを関係づけながら,具体的な指導の形を示し得た点は,本研究の意義として指摘できる。
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