研究概要 |
本研究は,情報システムの学習について,実践的・体験的かっ,コンピテンシーとしてのシステム思考を形成するための学習指導を構築するために,次の点を具体的に明らかにすることとしている。(1)システム思考の構成概念とその構造,(2)システム思考の形成過程,(3)システム思考を形成する開発題材(学習内容,開発教材,展開,指導方法)の評価。具体的には,現行の学習指導要領の内容をミニマムとして捉え,システム思考の形成という観点から,ロボット制御教材の開発と学習のフレームワーク(教材を用いた一連の学習のまとまり:題材)の開発を行った上で,創造的問題解決学習の授業実践と評価を行うこととしている。本年度は,「システム思考の構成概念の分析とロボット制御教材の検討」をテーマに,主に中学生を対象としてシステム思考の構成概念を検討するための尺度構成と,教員養成系の大学生を対象として,ロボット制御教材の検討を行った。 このうち,システム思考の構成概念を検討するための尺度構成では,研究協力校の4校において,プログラムによる計測・制御学習の実践とアンケート調査を実施した。そして,主にシステム思考の形成する際に重要な概念となり得る,関連技術に対する見方・考え方,生徒の行動変容に対する意識,学習に対する有用感等の量的・質的データを得た。現在,これらのデータを基に,尺度構成を進めている。また,中学生を対象とするロボット制御教材の開発と学習のフレームワークの開発に先立ち,予備的に,これらを指導する教員を対象としたロボット制御教材の開発を行った。具体的には,教員養成系の大学生を対象として情報システムに対するコンセプトマップを作成し,これらの結果に基づいて,教材の開発を行った。なお,教員養成系の大学生を対象としたロボット制御教材の開発状況については,2011年3月,アメリカのミネアポリスで行われたITEEAのCTTEにおけるポスターセッションにて発表した。
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