研究課題/領域番号 |
22530944
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
吉田 剛 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10431610)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 社会科 / 地理教育 / カリキュラム / 東アジア / 比較教育 |
研究概要 |
平成24年度研究計画は,主にシンガポールと香港の裏付け的な調査や新動向に関する調査と,中国地理カリキュラムの文献的調査,そして世界的な地理カリキュラムにおける地理的基本概念の役割の検討を行うことを目標とした。その主な結果は,次の5つである。①シンガポール地理カリキュラムのチェンジが,2014年頃となり,イギリスの影響を強く受けたものであることについて現地調査から判明した。②イギリス,アメリカ合衆国,シンガポール,香港そして我が国などの地理カリキュラムにおける地理的基本概念の役割を検討した結果,内容知と方法知となる3つの地理的基本概念の役割から2つの類型(トップダウン型とボトムアップ型)が見いだせた。このような地理的基本概念の役割に基づく識別方法は地理カリキュラムや地理学習をみる有力なツールに成り,パラダイム転換をもたらす可能性を示唆できた。③我が国中学校学習指導要領社会科地理的分野「内容」における地理的基本概念について分析し,その役割の多様性や階層性などについて吟味した。④アメリカ地理教育における五大テーマとスタンダードにおける地理的基本概念について地理教育国際憲章やルツェルン宣言などとの関わりから検討し,一部に「持続発展」などの地理的基本概念に系統性がみられた。⑤シンガポール小学校社会科シラバス2012を分析し,従来の基本概念に基づくカリキュラム構成から大きく変化したことについて検討した。これが新たなシンガポール中学校低学年地理シラバスにどのように関わるのかが課題となる。また調査上の問題から,香港での現地調査や,中国地理カリキュラムの検討が課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災や東アジアの調査環境の状況による。
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今後の研究の推進方策 |
研究の時間を増やし,合理的に進めたい。そのために,香港地理カリキュラムの検討を集中的に行い,また中国地理カリキュラムに関する文献の翻訳を急ぎたい。
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